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息子のクラスでは、夏休みに入る直前に近所の公園へ遠足に行きました。遠足と言っても、歩いて5分位の距離の所なのですが。そこで、子供達は1~2時間の間、ボールで遊んだり、クローバーの花で髪飾りを作ったりして遊んでいました。
息子のクラスは担任が二人付いている特別なクラスで普通の子と何らかの発達障害や学習障害を持つ子が混在しています。今年の担任は二人とも素晴らしく、息子を親身になって指導してくれたのでとても感謝しているので、私と夫は学年の最後の行事に参加しました。
息子を含めた子供達がグループになって遊んでいる中で、ひとりだけポツンとしている男の子がいます。回りの状況にあまり反応していないようで、明らかになにかの発達障害があるように見受けました。夫は自らがADDで子供の頃に辛い経験を沢山しているようなので、そういう状況には敏感です。
夫はその子に話しかけると、二人でボールを投げあい始めました。その子はあまり運動神経が良くないようで、ボールを受け取るのも投げるのもぎこちないのですが、満面の笑みを浮かべてとても嬉しそうにしていました。
暫くして担任のひとりもそこに参加し、会話が始まりました。「◯◯君は日にちから曜日がすぐに分かるんだよね。」と担任。驚いた夫が「へぇ〜、それじゃあ19XX年12月XX日は何曜日だった?」と自分の誕生日の曜日は何だったのか尋ねようとしました。
底で担任が助け舟を出しました。「◯◯君は、どうも自分が産まれてから今までの曜日しか分からないようなのよ。」…それだけでもかなり卓越した能力です。その子に去年のクリスマスの曜日、新年の曜日などを聞くと、瞬時に答えが返って来ました。
以前、テレビにその子と同じく曜日を瞬時にして言い当てる能力を持つ中年のおじさんがサヴァンとして出ていました。サヴァンの世界では有名な人らしいです。その時に初めてサヴァン症候群という言葉を知りました。
その子もテレビで見たおじさんも、どういう訳だかその能力を持って産まれて来たのですが、良くも悪くも普通とは異なる為に日常生活では並外れた苦労をするようです。
私の息子はサヴァンとは程遠いのですが、重度のADDの為に日常生活の苦労とはおなじみです。息子は落ち込んでいる時にごく稀に「ただ普通になりたい。」と言って泣く事があります。
親に出来るのは、なるべく子供が大人になってから普通の日常生活を送れるようにサポートする傍ら、得意な分野を奨励して伸ばしてあげる事ぐらいです。所謂普通にはなれなくても、普通に生活して満ち足りた、またうまく行けばかなり有意義な一生を送る事も可能です。
息子にも、息子のクラスメートにも、素晴らしい将来がありますように。