人間の脳というのは、驚くべき可能性を秘めているのだと先日テレビを見ていて思いました。アメリカのPBSというテレビ局にはNOVAという人気科学番組があります。そこで先日 “How Smart Can We Get?” という脳に関する番組をやっていました。
アインシュタインの脳の標本、楽器の演奏が脳に与える影響などとともに、サヴァン症候群に関しても言及していました。そして「脳は、不具合があると補償しようとする性質があるようだ…」というような表現を使っていました。
私の母は、9年前に脳出血で脳の機能の一部を失い、右半身不随と失語症になってしまいました。医者からは言葉は少しならば話せるようになるだろうけれど、右半身の動きが戻る事はないと言われました。
母はもう70才も過ぎているし、回復期のリハビリも嫌がっていたので、あまり回復が期待できると家族は思っていなかったのですが、言葉は今でも少しずつ回復し続け、右半身も少しならば動かせるようになりました。70才を過ぎた後も、脳は壊死して失った回線を新たに作り出しているのかと思うと、脳というのは驚くべき力を秘めているのだと驚かされます。
また、夫の親戚に自閉症の男の子がいますが、かなり早くから両親はその異常に気がついた為に、2才頃から積極的に治療を始めました。自閉症の子供に特徴的な耳を触る、言葉を話さない、人の目を見ないなどの症状がありましたが、努力の甲斐あって、最近は人の目も見るし会話もある程度できるようになりました。その子の場合も医者には「喋れるようにはならない」と言われていたそうです。
色々な人達を見ると、多くの場合脳の働きの異常があって、意思を言葉で表現できなくても、それは相手に伝達が出来ないだけであって、実はその人は頭の中で考えたり理解したり感じたりしているのでしょう。
我が家でADDの夫や息子にも、大きな欠点と言える所と大変優れた所があります。息子は、かなり強い注意欠陥性のADDと診断されていて、注意欠陥の実例を上げればきりがありません。でも楽器を持たせると即興ができるという特技のようなものがあります。技術がないので、演奏という程のものではないのですが、メチャクチャではなくちゃんとリズムとメロディーがあるので、聞いていて不快ではありません。
夫は全ての整理整頓に関わる事柄、物、文章、コンピューターのデータなど、すべてグチャグチャです。でも、それとは逆に分析する能力は人一倍優れているようで、人に会うとすぐにその人の性格などを素早く把握してしまいます。
この素晴らしい脳にもっと敬意を払わなければと思いました。