私はニューヨークに住んでいる8才の男の子の母親です。結婚が遅かったので37才の時に初産で産まれたのが息子で、その時に軽い妊娠中毒症を患った為に、第二子は全く考えませんでした。父親はアメリカ人で、今は景気の影響を受けて経済的に苦しくはありますが、至って平穏な家庭だと思います。
息子は、破水した為に4週間早く産まれたので、産まれた時にはとても小さな赤ん坊でした。アメリカでは大きくてまるまる太った赤ん坊を称える風潮があるので、小さい息子を見た心ない人々からの言葉で肩身の狭い思いをする事が何度かありました。それでも健康に産まれてくれたので、保育器に入る事もなく、障害もありませんでした。
小さかった事を除けば、息子は特に病気もせず健康に育ってくれました。息子がまだ5ヶ月位の頃から、夫は読み聞かせにとても熱心でした。息子もそれを楽しんでいる様子で、おそらくこの頃から息子の読書に対する愛着は育まれていたのだろうと思います。
子供が産まれたら、ぜひ日本語も教えたいと思っていたので、私は息子に積極的に日本語で話しかけました。息子がおじいちゃんおばあちゃんと全く意思の疎通が出来ないのは、悲しい事だと思ったのです。夫が全く日本語を話せないので、家庭の言語はもともと英語なのですが、それでも日本語の絵本を買ったり、童謡を聞かせたりして、二カ国語教育をしようと私は入れ込んでいました。ところが、息子が6ヶ月の頃に母が脳卒中で倒れてしまい、子供に日本語を教えようとしていた気持ちが萎えてしまいました。帰省して息子が日本語を喋っても、喜んでくれるおばあちゃんがいなくなってしまったのです。それでもどうにか気持ちを奮い立たせ、息子の為なのだからと、日本語教育は続けて行きました。
座ったり、ハイハイしたり、立ち上がったりするのは、平均よりも1〜2ヶ月遅かったと記憶しています。それでも小児科医には「早産で産まれた子は、最初の数年の発達は早く産まれた分遅いけれど、そのうちに他の子供達に追いつくので心配する事はない。」と言われたので、ことさら気にも止めませんでした。
それでも息子の言葉が遅い事には、私も少々考えさせられました。息子が3才の頃、デイケアに息子を引き取りに行った時、他の子供達が既に文章で流暢に会話をしているのに比べ、私の息子はようやくいくつかの単語が出て来るのみだったのです。バイリンガルの教育をしていると、言語の発達が遅れるとよく聞きますが、それにしても息子の言葉の発達は、少し遅すぎるのではないかと心配になって来ました。
その頃、知り合いの同年齢の子供を持つお母さんから、ニューヨークには Early Intervention Program というものがあると聞きました。言葉の発達等が遅い子供達に、市が無料でカウンセリングをし、様々なセラピーを提供してくれるという画期的なプログラムです。そのプログラムは、学校で落ちこぼれとなる子供達の最初のつまずきが、2才頃からの言葉やその他の発達の遅れとして頻繁に現れる事に注目し、なるべく早い時点で専門家が週に何度かの個々の子供に合わせたセラピー・セッション行い、後に落ちこぼれとなりそうな子を事前に援助しようという趣旨です。落ちこぼれが防げれば、それだけ就学率も上がり、将来警察の厄介になる人も減り、刑務所運営にかかる費用も節約できるというわけです。
私達は、早速そのシステムを調べました。まずは息子がその市のサービスを受ける資格があるかどうかを見極めるテストがいくつかあり、それによって息子はスピーチ・セラピーを受けるのが望ましいという結果が出ました。セラピーセッションは週に2度、キンダーに上がるまで約2年間続きました。
時々考えるのですが、セラピーの効果があったかどうかは、はっきりとは分かりません。幼児期は特別な指導を受けなくても言語の発達が見られる時期だし、もしかしたら息子はその時に丁度伸びる時期だったのかもしれません。それでも、セラピーは受けた方が受けないよりは良かったのではないかと今でも思っています。
また、セラピーを行っている所からは、二カ国語教育は、止める必要はないと言われたのですが、まず英語がしっかりと喋れるようになって欲しいという夫の要望を受け入れ、日本語は英語が喋れるようになるまで待つことにしました。
結局、キンダーに上がる頃までには、それほど口が達者ではないものの年齢相応の言語の発達が見られるようになり、就寝前の読み聞かせも息子からせがまれる程になったので、私と夫はひと安心していました。
もう一つ、息子には排便排尿の問題がありました。トレーニングをしなかった訳ではないのですが、私のやり方がまずかったのか、不十分だったのか、息子はいつまでもお漏らしをしたり、パンツに排便をしていました。それを叱ると、今度はパンツを汚した事を隠すようになりました。
様々な人から、様々な方法を進められ、全てを試しました。デイケアの先生には、トイレに行かないとオモチャを取り上げるなどの罰則を設け、また表を作ってうまくできた時には、シールを貼ってあげれば、子供は自然とトイレに行く事を覚えると言われ、それも試しましたが、あまり効果はありませんでした。友人のお母さんからも、ビデオを見せれば良いとか言われ、それを借りて見せても、全く変化なし。絵本を買って来て見せても全く効果がありませんでした。
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